JOURNALBMCジャーナル

STORY

教えて南先生! – ワークウェア市場の構造ってどうなってるの?

昔から、吉凶禍福は糾える縄の如しといいます。

長所も短所も実は同一のものなのです。よく言えば「慎重」ですが、悪く言えば「優柔不断」ということになります。

どんなシステムも完璧ではありません。必ず弱点があります。というよりも長所が弱点になることが珍しくありません。

 

オンワードの600店舗閉鎖計画、サンモトヤマの倒産、フォーエバー21の日本撤退(中国も撤退、アメリカ本国も経営破綻)などなどアパレル業界では不景気なニュースが多く見られますが、そんな中で好調なのがワーキングユニフォームチェーン店のワークマンです。カジュアル用に再編集した「ワークマンプラス」の積極的出店で業績を大幅に伸ばしています。

BMCはワークマンとは逆にカジュアル業界からワーキングへと進出していますが、資本の大きさでいえば、圧倒的にワークマンが優勢です。ではどのようにすればBMCに勝機が見えるのでしょうか。

まず、ワークマンの構造から考えてみましょう。

 

 

実は売り切るのに数年かかるワークマンの在庫

ワークマンに限らず、ワーキングユニフォーム業界というのは、基本的に

1、高機能であること

2、低単価であること

を追求してきました。ワークマンが売れているこの2点は実はワーキングユニフォームメーカーならどこも持っているものです。

高機能であることは、紡績や合繊メーカーとの強い連携が必要で、低単価に抑えるということは、生産ロット数を大きくするというやり方が必要になります。

 

ユニクロに代表される事例を見てもわかるように、商品の価格を下げるためには、何万枚という大量生産が不可欠となります。もちろんワークマンも例外ではありません。

しかし、大量生産すれば売りさばけるのかどうかの不安が常に付きまといます。ユニクロの場合は圧倒的な知名度と、800店という店舗数の多さ、それと大幅な値下げによって売れ残りがほとんど出ない仕組みになっています。カジュアル衣料・ファッション衣料は、基本的に単年度で売り切りというビジネスモデルです。ユニクロの場合は昨年物を値下げして売ったりもしますが、それ以外のブランドではこのやり方はほとんど見られません。

単年度で売り切らねばならないため、売れ残ることも多く、これが在庫廃棄にもつながっています。

一方、ワーキングユニフォームはワークマンも含めてトレンドの流行がさほどないため、大量に作った商品を何年かかけて売りさばくことができます。

ワークマンがメディアで公表している手法を見ていくと、

1、店舗数が871店ある

2、値下げせずに2年~5年かけて売り切る

というものがあります。あと、今回は871店舗中のほとんどを占めるフランチャイズ店という弱点には触れません。

 

1店舗あたり1品番50枚を配布するだけで43500枚が必要となります。4万枚強の生産ともなればかなりの生産数量なので当然、生産コストは引き下げられます。実際は1品番50枚どころの配布ではなく、100枚以上でしょうから少なくとも1品番10万枚は生産していると考えられます。

通常のファッション衣料ならこれを単年度で売り切りたいがために、値下げ処分しますが、ワークマンは何年かかけて値引きせずに売り切ります。

 

 

小資本ブランドは「小回り」が勝機

逆にいえば、ワークマンは2~5年間ほとんど新商品が出せないということになります。その間にトレンドが変化してしまえば対応できません。ワーキングユニフォーム店だけならそれでもやっていけますが、カジュアル対応をした「ワークマンプラス」はどうでしょうか。商品内容は同じなのです。

いくら、トレンド変化が緩やかになったといっても、2年間はまだしも3年~5年も変化しないことはありえません。今の生産体制では、ここで対応ができないということになります。ワークマンプラスだけを小刻みに対応してしまえば、売れ残り在庫を過剰に抱える可能性が高まります。

 

一方、カジュアル出身で小資本なBMCは小刻みな小ロット対応が可能です。10枚とか20枚程度の生産は不可能ですが1型100枚くらいからなら対応が可能になります。また毎年はおろか、季節ごとに企画内容を変えることも可能です。

 

小資本には小資本なりの戦い方があるということで、強い大資本と戦うには、①同じくらいに大資本になる、②大資本の得意技を無効化する の2点があると考えますが、同じくらいの大資本になることは難しいので、無効化するというやり方を選ぶべきでしょう。小刻みな小ロット生産でのトレンド対応をすることで、大手の得意技を無効化することが可能になります。

 

 

ライター:南 充浩(みなみ みつひろ)

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

 

  • SHARE