JOURNALジャーナル

STORY

「本物の仕事」こそがファッションの未来を作る

製造・販売・広報・EC…。
一口にファッション業界と言えどもその領域は様々で、一つ畑が違えば全く見知らぬ世界が広がります。
 
他業界から見ると一様に同じ世界に見えるファッションという領域。同業界の成功者はまるで全能のように見えがちになります。
 
しかしファッションECの覇者であるZOZOTOWNですら、製造に手を出した瞬間に足元をすくわれる。それくらい、領域が異なる事で実績をあげるのは難しい。今回は「製造・企画」と「販売」という全く違う領域で実績をあげ続け、それぞれ”本物”の仕事を追求するお二人にフォーカスした対談をお届け致します。
 
 
 
 
 
四元亮平(よつもと りょうへい)
 
PLAY inc代表。元ポールスミストップセラー。現在はセールスコンサルタントがメイン事業。BMW japan Motorradアパレル部門の専属コンサル、Lee Japanの直営店舗セールスコンサルなど大手ブランドのセールス部門のコンサルティング業務に従事。ファッション販売員の為の情報メディア「Topseller.style」主宰。
 
 
 
 

Q.お二人はどこで知り合われたんですか?

 
青野:StylePicksの深地さんに言われてTwitterを初めたんですが、知らない人たちと会うきっかけになりましたね。それがあって四元さんを知ることにもなりました。
 
 
四元:僕もそれでTwitterで青野さんを認識しました。「この人やばいな」と思ったのは、急に資金繰りのことを発言した時ですね(笑)これ言って大丈夫?みたいな。自分も独立当初メーカー業をしてた時期あるからリアルな感じが伝わってきましたね。この人、相当な修羅場くぐり抜けてるなぁと。
 
最近よく思うんですけど、賢いビジネスってリスクヘッジしてるじゃないですか。在庫持たず、人を持たずみたいなね。自分自身が今そうだったりするんですよ。今ってそういう働き方がトレンドになってるけど、そういう生き方に対して自分自身がちょっと納得していないところもあるし、ちょっと嫌だったんです。そんな時代に一から在庫リスクちゃんと持って、しかも「定番アイテムであるデニムで勝負してるんだ!」という点が本物の事業展開って感じたんです。これこそ本物の事業家だと。
 
僕自身が物を作っていた時期に、「物だけ作ってるのはダメ」だと思ってたんです。だから今度は、それだけリスク背負って魂込めてる人たちのために何ができるかって考えたから今の仕事をしてるんですよ。
 
 
青野:僕は四元さんのお話を深地さんから聞いていて、最初は「この人何やってる人なんだろう」って疑問だったんですTopseller.styleはライターの南充浩さんがきっかけで知ったんですが、そこで四元さんのブログによく目を通すようになりました。
 
四元さんの独特の語り口調と、あえて答えを言わない余白のあるツイートを見てると「この人めっちゃ賢い」って印象でしたね。答えをフォロワーに考えさせるスタイルなんだと。それと同時にオラオラ感を非常に感じて「この人怖いんだろうな」とずっと思ってました(笑)ちなみにうちの社員も同じ印象持ってます(笑)
 
 
四元:「怖い」っていうのは青野さんには言われたくないですね(笑)
 
 
 
 
 

Q. その後、直接会おうとなったのはどうしてですか?

 
四元;会うべき人って、然るべき時に偶然会うことになるって信じてるんです。でも偶然会う為の確率は高めてはいるんですけどね。「偶然を狙ってる」みたいな(笑)そういうタイミングで出会った人って大事にしてるんです。
 
青野:僕もご縁は大事にしてるんですよ。周りの方々と既に繋がりのある四元さんにもその縁を感じたので、そんな時はどんなことがあっても会うタイミングを作ろうと思いますね。でも初めてお会いした時から、初めてのような気がしないんです。全然違う領域にいるのに考えてる事が結構似ていて。
 
四元:初めてお会いする人と対峙する時、その人の本質はなんなのかって考えるのが癖なんです。販売現場でもそうなんですが、初対面なのに10年来の友人のような感覚を出せるか。喋り出して3秒くらいで、もうその印象は決まったりします。だからこそ「この人、なんで自分に時間を使ってくれてるんだろう」って無意識に考えていますね。お客さんって自分のことを知ってる人に商品を薦められる方が買いたくなるでしょ?笑
 
青野:販売員さんってそういう人多いんですか?
 
四元:はい、職業病ですね(笑)
 
 
 
 

Q.お互いを見て「ここがすごい!」と思うポイントは何でしょうか?

 
四元:0を1にする人たちに対するリスペクトはずっと持っていますよ。自分はそこが苦手だと思ったから離れましたし。離れてみて気づいたのが、自分は1を10にすることが得意って事。僕は今の力をそういった人たちの為に使いたいんです。特に青野さんのような豪腕社長のサポートはやりがいがありそうです。
 
青野:四元さんっていつも本当に様々なことを考えてますよね。常に考えてるからこそ、お話される内容が整理されている。そうやって言語化してくれた事を聞くからいつも納得させられる。ロジカルな考えと、販売員さんならではの言語化能力が融合したところが強みだと感じます。これって意識的にやってるんですか?
 
四元:ブログやりだしたのが原因ですね。書く前にしっかりネタを考えるし、文字に起こすから頭が整理されます。販売員の仕事は、その場その場での言葉の瞬発力が必要なんですよね。特に販売スキルは理論として説明できるようになると再現性も高くなる。販売員ってアスリートと同じだと思ってますよ(笑)
 
 
 
 

Q.お互いの領域について思う事ってありますか?

 
四元:ブランドやもの作りに対する熱量を感じています。悪い意味ではないんですが、販売をする人間にとっては「どんな物であろうとお客さんに喜んでもらえる」って思ってやってます。ただ、1点重要なのは0から1の部分。つまりブランドの「コンセプト」や「ストーリー」はすごく大事なんです。もちろんデザインの良し悪しも関係無くないんですが、僕自身が商品と会話できる物でないと売りたくないんです。あぁこのブランド勝ちに来てるなって感じると売りたくなる。BMCはそれを感じるんですよね。
 
 
青野:本質的にはやってる事は同じなんだなぁって印象です。ブランド側は逆に「誰でも売れるもの作り」を考えますね。サラリーマン時代は、企画部門って自分の会社の営業にプレゼンするだけだったんですけど、BMCを始めて飛び込み営業を散々やりました。その時に小売店が必要としている事は何か?解決・提案を繰り返してるうちに、「この人が何を求めてるのかがわかれば何でも売れる。」と思うようになりました。to Bとto Cのセールスの違いはあるにせよ、人に伝える熱量やそれを買った人がどうなるか?という事は考えますし、そのあたりが似てるのかなって。
 
ただto Cと違う点は、Webのおかげである程度ユーザーのニーズを定量的に測ることができるようになりましたけど、まだまだ「予想」が占める部分は大きいですね。
 
四元:もの作りの人たちはそういった要素が必要だと思いますよ。トレンドって予測不可能ですから。お話聞いていると、作る人は「何が売れるんだろう?」と考えるけど、僕たちは「顧客はなんで買うんだろう?」って考えるから、それでうまく双方が成立しているんですね。双方が歩み寄って考える事が大事なんだなと。
 
 
 
 

Q.お二人にとってファッションとは何でしょうか?

 
四元:単純に服を好きになってからは幸せですよ。生まれてから死ぬまでファッションは必要だし、そこに関われてるのが楽しい。だから服の仕事をしているのかもしれませんね。
 
青野:僕もファッションは大好きなんです。こんな怖く見られる僕でも、ファッション次第で品良く見せてくれたりしますから(笑)絶対誰にも侵されない感性的な領域ですよね。でも、創業からずっと思っている事があって…。それは”正解がどうかわからないものを売っている。根拠の無いもので勝負している。”というところです。だからこそ、「ファッションって何なの?」とずっと思っているんです。そういった部分がコンプレックスにも感じています。
 
四元:それはわかりますよ。ファッションってキレイゴトで紡がないといけない世界なんですよ。でも一方で「製造」に関わるとそうも言ってられない場合がある。売れないと収入が得られないし、生産ロットの問題だってある。キレイゴトだけではやり切れない部分なんていくらでもありますから。
 
青野:そうなんです。SNSでキレイゴトばかり言っている製造関係の方々を見ると「本気で言ってるの?」と思ってしまう。それくらいリアルはもっとドロドロしていますし、ファッションを商売のツールにした瞬間からキレイゴトだけでは生きていけなくなります。
 
四元:その代わりに販売員がいるんですよ。キレイゴトってちょっとでも躊躇ったらダメです。だから自分たちが代わりに全力でキレイゴトをお客さんに言っているんです。青野さんのようにそれを影で支えてくれて、そのキレイゴトを実現してくれる人がいるからこそ出来る事です。
 
どれだけ真剣に心の底から恥ずかしがらずキレイゴトを言えるか、それができる販売員が勝つんです。お客さんもそれがキレイゴトってわかっているんですよ。そこにどれだけ夢を見させてくれるかを求めてるんです。そこに商売っ気が見えた瞬間に終わる。もしかしたら作る側もついてきてくれないかもしれません。だから販売員がキレイゴトの翻訳家にならないといけないんです。それを覚悟持ってやるのがセールスなんですよ。
 
青野:確かに同じキレイゴトを言っている人間でも中身があるかどうかは行間を読めばわかりますからね。言っている事が「何かの本を読んだ?」とか「誰かが言ってた事の受け売り?」って思ってしまう。薄っぺらいんですよ。きっと覚悟の違いなんでしょうね。
 
四元:僕が近くにいたいって思う人は、「この人の未来が見たい」「未来に期待したい」人なんです。ファッションを通してお客さんにもブランドにも素晴らしい未来を見てほしいし、それを自分自身がサポートできるならこんなに幸せな仕事は他にありませんね。
 
 
 
同じ年に生まれたお二人ではありますが、これまで全く違う領域で生きてきたのに共通する要素が非常に多い事に驚きました。
インタビューしている側からすると、お互いの追求する「本物」という価値観が共通言語を生み出している…、そんな印象を受けました。
ファッション業界はメディアで報じられているような「通説」とされている事が間違っているケースがよく見受けられます。これも対談中にお話されていた「キレイゴトで紡がれる世界」ならではなのかと思いますが、片やキレイゴトを貫いているもう一方でそろばんを弾くといったお二人が表裏一体になっているからこそ成り立つのだと、真の実務家を見てそんな事を考えさせられました。
この二人の描くファッションの未来がどうなっていくのか、今後も注目していきたいと思います。(ライター:深地雅也)
 
 
お二人が着用されているのはクラウドファンディングサイトのCAMPFIREにてサクセスした【空冷式スーツ】です。現在、絶賛販売中でございます!
 
 
 
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