JOURNALジャーナル

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ワークウェアが起源の服、あれこれ

みなさん、こんにちは。

現在「カジュアル」と呼ばれる衣料品はさまざまなジャンルからの寄せ集めだといえます。

主には、ワーク、ミリタリー、スポーツ、アウトドアという4つのジャンルから派生したアイテムで構成されているといえます。

この4つのジャンルを見て、最大の共通点にお気づきでしょうか?

そう、この4つのジャンルのアイテムに共通するのは、「機能性」という点です。

どれも体を動かすことを目的として作られている服なので、当然のことながら、動きやすさを中心とした「機能性」が重視される必要があります。

 

この4つの中で親和性が高く、融合しやすいのがワークとミリタリーです。

今回はワーク起源の服を見ていきたいと思いますが、そんなわけでワーク起源でミリタリーに転用された服も紹介することになると思います。

 

ワークウェアの代表「ジーンズ」

ワーク起源の服の代表と言えばジーンズではないでしょうか。もちろん同じデニム素材のジージャンも同様です。

ご存知の通り、ジーンズは炭鉱の作業服として開発されました。インディゴ染めのデニム生地が採用された理由は、耐久性とともに、インディゴに虫よけの成分があったからだとされています。最近、アウトドアウェアで出てきた防蚊機能を備えた服の原点だとも言えます。

現在のデニムに蚊を含めた防虫効果を期待する人はほとんどいませんし、今の合成インディゴには防虫機能はありません。

ジーンズは今ではワーキングというよりもカジュアルウェアの代表になった感じがあります。

 

BMCがジーンズブランドでありながら、ワーキングユニフォーム業界に参入したのは怪我の功名みたいな部分があると個人的には思っていますが(笑)、ワーキング出身のジーンズがカジュアルに定着した流れを逆流させたもので、いわば、原点回帰ともいえる動きです。

 

ワーク・ミリタリー両方の要素を持つ「カーゴパンツ」

次はカーゴパンツです。これもカジュアルの代表的なパンツですが、ワーク起源です。ワーク起源でありながら、ミリタリーに採用され、今ではどちらかというとミリタリーテイストと見なされることがほとんどです。

話はちょっと逸れますが、どうしてワークとミリタリーが融合しやすいのかというと、活動内容が非常に近しいからです。一般的にミリタリー(軍隊)というと武器・兵器の扱いばかりを練習していると思われがちですが、それは軍隊の活動の一部にすぎません。

戦争というのは、破壊するばかりではありません。何もない場所に陣地を築いたり、補給のために未開の地に道を作ったり、輸送のために壊れた橋を修理したりというような作業が必須となります。また人間が活動するためには最低限何かを食べなくてはなりませんから、調理も活動内容の1つになります。怪我の治療も行いますから医学も発達します。これらの活動内容は軍隊でなければ、一般的な「ワーキング」と同じ物です。そのため、ワークに必要な機能は、ミリタリーにも必要な機能である場合が多いということになります。

カーゴパンツは貨物船(カーゴ)で荷役作業などに従事する人たちの間で使われるようになった、作業用のズボンです。生地の厚い丈夫な綿布で作られ、腰をかがめた時にも物の出し入れがしやすいように、膝上の左右の腿の両脇に大きなポケットが付けられているのが特徴で、シックスポケットパンツとも呼ばれます。

現在では、ジーンズにはやや及ばないものの、定番のカジュアルパンツの一つとして幅広いブランドで販売されています。

 

実は漁師の防寒着だった「ダッフルコート」

お次はダッフルコートです。

ダッフルコートといえば、主にメルトン素材(現在は合繊主体のメルトン風素材の商品も増えた)で作られたフード付きのコートです。前部分は通常ボタンでもファスナーでもなく、「トグル」と呼ばれる細長い物をループに引っかけることで閉めるところにデザイン的な特徴があります。

現在では、優等生っぽいスタイルに似合うアイテム、学生風のスタイルに似合うトラッドアイテムとして認知されていますが、もともとは北欧の漁師の仕事用防寒着がルーツで、れっきとしたワークウェアです。

ボタンではなく、トグルでループにひっかけるようにして開閉するようになっている理由は、手袋をはめたままでも前を開閉しやすいためです。

そして、このダッフルもミリタリーと融合し、第二次世界大戦時にイギリス海軍が防寒コートとして採用しました。大戦後に余剰品を民間に払い下げたため、広く庶民が着用するようになったと言われています。そういえば、日本でのジーンズの普及も第二次大戦後、アメリカ軍が中古ジーンズを日本に輸入したことがきっかけとなっていますから、似たような経路をたどってマスアイテムになったといえます。

ついでにいうと、Pコートもダッフルコートと似た起源で、こちらはどうやらミリタリー発祥で、ヨーロッパの海軍に広く使用されていたものが、ワーキングとして漁師の防寒着にも転用されるようになったとのことです。

 

今もワークウェアとして使われる「エプロン」

ワーキングを起源とする服はこのほかにもさまざまありますが、身近なところでいえば、エプロンなんかも一部ではファッションアイテム化してきています。とはいっても、まだまだ特殊なジャンルですが、メイド服やメイド服をモデルとしたゴスロリ服にはエプロンがファッション要素、アイコン要素として取り入れられています。

クラウドファンディング、第6弾まで準備が進んでいます!

BMCではそんなエプロンを「オシャレなワークウェア」として開発を進めています。美容師さん向けの制服として機能を追求しながらも、日常着とミックスさせても違和感の無いレベルにまで仕上げております。

ワークだけでなく、アウトドアでのクッキングなどにも使える汎用性の高いアイテム。ワークウェアを取り扱うBMCだからこそ作れるアイテムでしょう。クラウドファンディングで発表されますので、詳細をお楽しみに。

それではまた次回。

 

ライター:南 充浩(みなみ みつひろ)

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間20万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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